売上減少が続く農産物直売所で、買上点数向上による売上増加を狙う

ここは第3セクターが運営する農産物直売所。
オープンしてすぐに大人気になり、爆発的に売り上げが伸びました。
中心商品である野菜の評判がいい、店員の評判は最高。
しかし、2017年以降売上高は右下がりで、このままだと赤字に突入です。

農産物直売所はコロナが原因と
言っているけど・・・

目次

売上減少の原因

顧客ヒアリング、現地調査、資料分析から売上減少の原因を次の3点と特定しました。

経営視点から見た売上減少の原因
・将来の方向性が不透明で短絡的経営になっている
・過去の好調な業績成長により、顧客および競合他社に対する意識が低い
・組織を守ることが優先され、顧客ニーズの変化に対応できていない

つまり顧客のニーズを満たしていない!
過去の成功体験に縛られ、変化する市場や顧客ニーズに対応できていないことが、売上高が低下し続ける最大の原因。

競合他社はいつも顧客の
ことを考えているよ

課題
・将来の方向性の明確化
・顧客と競合他社に対する意識の醸成
・顧客を起点として組織理念の構築

顧客のことを理解できない
会社はそっぽを向かれます

・顧客は自分の要求に合わない商品を購入しない
・さらに顧客は企業に対し何も命令しない
・しかし、自分の意に沿わないときは、何も言わずに離れていきます

良い商品も顧客の要求に
合わなければ、売れないよ

提案したこと

事業ビジョン
・お客様に新しい魅力を届ける物産館 ~新しい成功体験~

事業戦略

事業構造
・顧客ニーズが高い商品のラインナップを拡充
・顧客から支持されている売れ筋商品の商品陳列や売り場演出の改善等により売上拡大を図る
・売上に寄与していない商品については見直しを行う(スクラップアンドビルド)

事業の特色
・顧客最大の支持要因である、商品の鮮度と安心・安全については引き続き地域一番店を守る
・顧客に対して、常に新しい商品との出会いの場を提供する

販売体制
・来店顧客への直接販売はだけでなく、注文販売体制を構築して非来店顧客への販売を強化
・地元のブランド力を活用した外販についても販売機会を逃さない

供給体制
・地元農家や加工品取引会社等との情報交換を綿密に行い、販売機会の損失をなくす
・地元産品では賄えない商品については、ほかの道の駅や直売所との販売連携により、顧客の声に応える

内部体制
・従業員一人ひとりが自己表現できる環境作り
・商品の演出や顧客対応、通常のクレーム対応など、責任ある仕事についても従業員に任せる
・徹底した顧客サービスと他社に勝てる組織への変革を目指す

資本政策
・顧客を飽きさせない魅力ある売場を維持するべく、適切な設備投資を毎年行う
・そのための適正な利益を、売上の拡大により確保する

機能別戦略

組織・人事
・長期的な視点を持つ【未来志向】
・顧客や競合の変化をとらえる【外部志向】
・【経営計画】を明文化し従業員へ浸透
・優れた顧客サービスや他社との競争に勝てる組織作り【構造志向】

商品政策
商品アイテムのスクラップアンドビルド
・特定商品のアイテム数拡充
・市場シェアの拡大

店舗運営
店舗レイアウトおよび陳列の変更
・POPの改善
・照度の向上

商品政策

スクラップアンドビルド

ABC分析から、A、Bランク商品の拡充とCランク商品の縮小を行います。
管理について、注意点は欠品防止。
欠品は機会損失を発生させるだけでなく、顧客を他店に流出させるきっかけになります。

ABC分析とは、商品の売り上げ実績に応じてランク付けし、その中から稼ぎ手の商品を探し出して、重点管理することを目的とした「選択と集中」のための手法です。
①実績をもとにすべての商品を抽出し、売上高の大きな順に並べる
※商品は少額でも必ずすべて記載する
②商品ごとに売上高の個別比率と累計比率を記載
※累計比率とは売上高順位の上位からの累計売上高比率のこと
③ランク付けは、累積比率が80%までをA、80~95%までをB、95~100%までをCとする
※Aが貢献度の一番高い商品”売れ筋商品”
※Cは貢献していない”死に筋商品”

調査中、賞味期限が短くなっている商品が散見されました。
顧客の多くは、商品購入の際に賞味期限を確認するので、併せて管理が必要です。

現在の状況とランチェスター戦略を踏まえた検討から、商品政策の方向性は
①特定商品のアイテム数を増やし顧客の購買意欲を高めて買上点数を増加
②販売データを活用して、「売れ筋」と「死に筋」を把握し、重点商品の管理を行うことで魅力あるラインナップを構成する

店舗運営

インストアマーチャンダイジング

インストアマーチャンダイジング(ISM:イズム)とは
①小売店頭で
②市場の要求に合致した商品及び商品構成を
③最も効果的で効率的な方法によって消費者に提示することにより
➃資本と労働の生産性を最大化しようとする活動

ズパリ、顧客のニーズに対応することにより、店内購買行動に変化を生じさせ、買上個数の増加を図ります!

来店客1人あたりの買上金額(客単価)の最大化を目指します。
客単価=買上個数(←動線長×立寄率×買上率)×商品単価

動線長:店内を歩く距離
→『客動線とデッドスペース』
→『売場レイアウトと陳列』

立寄率:歩く中で、売場にどれだけ立ち寄ってもらえるか
→『商品レイアウト・陳列』
→『POP(商品説明)』

買上率:どれだけ売場内の商品を視認し、買い上げてもらえるか
→『POP(商品説明)』
→『照度』

客動線とデッドスペース

来店客調査を行いました。
調査結果は、すべての年代の合計です。
ミドルとシニア別の結果もありますが、今回は割愛します。

客動線調査とは、調査員が来店客の店内行動を追跡し、入店から出店までの動線をレイアウト図を模式化した調査票に線で記録します。
歩いた動線を数値化し、客動線(顧客が歩く場所)とデッドスペース(顧客が歩かない場所)を明らかにします。
ここでは通過率10%以下をデッドスペースと表現します。

奥側のレジ裏、店内中央部の食品(缶詰売場)、休憩所がデッドスペースで、ほとんどの人が利用していません。

ミドルの顧客はシニアと比べ、冷蔵スイーツや日配品の通過率が高い。
土産菓子コーナーはミドルがシニアより明らかに多く、来店客アンケートより、シニアと比べて観光客の割合が高いからだと読み取れました。

来店客調査結果(全世代合計)

店舗レイアウト・陳列

総買上個数は動線長に比例して増加します。

顧客の多くはシニアであり、地元の住民であることから、動線長を長くすることよりも必要なモノを効率よく購入できるようにします。

冷蔵庫エリアの手前側にはシニアのパワーカテゴリーである生活必需品、奥側にはミドルを引き寄せるナチュラルスイーツや果物を置くことで、普段使いの商品が欲しいシニアに優しい売り場にするとともに、ミドルを店奥に引き込み動線長を長くすることができます。

冷蔵庫内の商品の配置換え

ゆでトウモロコシや果物など季節の催事品をデッドスペースだった缶詰エリアに移動。
ミドル層は、野菜コーナーやナチュラルスイーツコーナー等を通過後に催事品を見ることになり、動線長を長くするとともに、土産菓子等への視認率を高めます。
シニアは、飲料、調味料、菓子など必要な商品を短い動線長で効率よく購入し、負担の少ない買い物ができます。

催事コーナーをデッドスペースに配置

この道では、地元のもの、地方のもの、姉妹都市のものと商品を分けて置いています。
配置や店のコンセプトがあるかと思いますが、顧客視点でいうと、商品がどこにあるのかわかりやすいことが一番。
実際、めん類や調味料などは売場が散らばっており、目的の商品を見つけることが難しい状態です。

品物のカテゴリーごとに売場を決めて、一目でわかるようにしましょう

ゴンドラの利用で、スーパーマーケットではあまり目にしない地方の商品が比較でき、顧客の購買意欲をかき立てます。
また、顧客の中心であるシニアが当店だけで買い物が済むように、最低限の調味料を置くことで、シニアが他のスーパーに行く機会を減らすことができます。

ゴンドラのイメージ

野菜売場は、農園ごとに並べられています。
農家が各自、朝収穫したものを置いていきます。
地元の農家の顔もわかり安心・安全なシステム。

しかし消費者の視点でみると、同じような棚が並んでいて、欲しいものがどこにあるのかわかりません。
農園のアピールは入口等でして、野菜は種類ごとに陳列しましょう。

『大事なのは、消費者の視点』

野菜売場の棚

POP

POPは立寄率と買上率に直結します。
そして顧客がPOPから知りたいのはおいしさや、そこの店で買うメリットです。
下の写真では商品の魅力を伝えきれていません。

店内でよいPOPを見つけたので魅せます。
商品の説明・ストーリー(元気なハチによる受粉で花から果実になった)、機能(ビタミンC)、便益(高い糖度、味比べができる)がバランスよく書かれています。

・農家のレシピ紹介
主婦は毎日の食事メニューに頭を悩ませています。
野菜のおいしい食べ方を知っている農家がレシピを紹介することで、主婦の悩みを解決。
レシピに必要な野菜の抱き合わせ購入により、野菜の買上個数の増加につながります。
必要な調味料も置けば、抱き合わせ効果は増大。
特にスーパーに出回らない野菜類は、食べてみたいけど料理方法がわからないという理由で断念する人が多いため、売場のレシピは効果的です。

・旬の野菜を使った『農家メシ』レシピ
・農家しか知らない、秘密のみそ汁レシピ
・こんな野菜も使えるの!?『〇〇農園の漬物』レシピ

照度

スーパーやコンビニ等の平均照度は1,000〜2,000ルクスとされていて、2,000ルクス以上が推奨。
オフィス空間の照度水準が750ルクス以上です。

競合店の照度

改善策として、
①蛍光灯をLEDに変更
②土産菓子や催事品などはスポットライトで強調

LEDは店内を明るくするだけでなく、熱を発しないため、店内の気温上昇を防ぎます。
さらに紫外線を発しないため、野菜の色あせ等の影響を軽減。
スポットライトは売りたいモノにメリハリをつけて、顧客の目を引き買上率を向上させます。

LEDは補助金を活用できる
自治体もあるよ

まとめ

多くの市町村と同様に、高齢化や人口減少が進む中、客数の増加はあまり期待できません。
それならば、買上点数の増加を考えるのが、小売店の生きる道でしょう。

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この記事を書いた人

地元の皆様の声に耳を傾け、共に課題を解決し、未来へ繋ぐ森林環境を築いていきます。海外展開や外国人材の活用も積極的に支援し、新たなビジネスチャンスを共に見つけていきましょう。地域と環境を大切にしながら、皆様と共に成長していけることを心から願っています。

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